
レマン湖畔のヴェヴェイでの、夏休み最後の朝。
ガウンのまま、いつものテラスで朝食をとる。
荷物はケーブルカーで運んでもらい、
私たちはワイン畑の間を歩いて湖畔まで降りることにした。
滞在中、私たちの世話をしてくれた執事に、
別れ際、こう伝えた。
「またいつか、このホテルに帰ってくるから」
すると彼は、少し笑って言った。
「その時は、うちのハチを貸してあげるよ」
「なぜ?」
「毎朝、二人だけで散歩するのはもったいないからさ。
うちの秋田犬のハチも、一緒に歩けたら喜ぶよ」
「今度は早めに言ってよ。日本では、私たちをの愛犬ファーリン
が、散歩に行こうって首を長くして待っているよ」
湖の光と、あの朝の空気は、
きっとずっと忘れないと思う。